「準備ができたら始めよう」で、何年たちましたか?――仕事とキャリアを動かす小さな一歩

「もう少し勉強してから」
「資格を取ってから」
「自信がついてから」
仕事やこれからのキャリアについて、やってみたいことはある。でも、今の自分ではまだ足りない気がする。
そんなふうに、始める時期を先に延ばしていることはありませんか?
勉強しているし、情報も集めている。何もしていないわけではない。それでも、肝心の「やってみたかったこと」は、ずっと手つかずのまま。
今回は、私自身の起業経験をもとに、準備と行動の関係についてお話しします。
私も、すべてが揃ってから起業したわけではありません
私が起業したとき、資金もノウハウも十分に揃っていたわけではありません。
もちろん、何も準備をしなかったわけではありません。ドイツから帰国した後には、キャリアコンサルタントの資格も取得しました。
それでも、実際に始めてみれば、足りないことは出てきます。
そのたびに学び、人に聞き、必要なことを身につけていく。そうやって進んできました。
もし「もう何も心配することはない」と思えるまで待っていたら、起業する日は来なかったかもしれません。
拙著『読むだけで人生が変わる「すぐやる」思考術』でも、私は「準備は永遠に万端にならない」と書いています。
始める前に、すべてを見通すことはできないのです。
始めてみると、必要な準備が具体的になる
たとえば、自分の経験を文章にして発信してみたいと思ったとします。
文章の書き方を学び、発信のコツを調べ、ほかの人の記事を読む。どれも役立つ準備です。
でも、自分で一本書いてみると、別のことに気づくかもしれません。
「伝えたいことを一つに絞るのが難しい」
「説明するより、自分の体験から書くほうが言葉が出てくる」
「誰に読んでほしいのかが、まだ曖昧だった」
ここまで分かれば、次に何を考え、何を学べばいいかが具体的になります。
仕事でも同じです。
人前で話す力をつけたいなら、身近なメンバーに短く説明してみる。業務を改善したいなら、関係者に相談して、担当業務の一部分で試してみる。新しい仕事に興味があるなら、その仕事をしている人に話を聞いてみる。
小さく試した経験が、次の準備の手がかりになります。
始める前には気づけなかった課題も、自分に合うやり方も、動いてみることで見えてくるのです。
「何とかなる」と思えるのには、理由がある
私は基本的にポジティブです。
ただ、根拠もなく「何とかなる」と思っているわけではありません。
情報を集める。本を読む。セミナーに参加する。人に会いに行く。
そうした小さな行動を繰り返しています。
いろいろな種をまいておくと、何かしらの反応があります。そこで得た情報や出会いが、次の行動につながることもあります。
私の「何とかなる」は、そうやって動いてきた経験に支えられています。
一つ試せば、一つ分かることが増える。その積み重ねが、次に進む力になるのだと思います。
職場でも、「まず小さく試せる機会」をつくる
人材育成を考える立場でも、この視点は大切だと思います。
「もっと主体的に動いてほしい」と期待するとき、本人が最初の一歩を踏み出せる機会があるかも、一緒に考えてみる。
たとえば、短い説明を任せてみる。改善案を一つ出してもらう。関心のある業務について、担当者と話せる機会をつくる。
そして、試した後には「何が分かったか」「次はどうしたいか」を一緒に振り返る。
最初から大きな成果を求めるのではなく、小さな経験から学べるようにする。そんな関わり方も、行動を後押しする一つの方法ではないでしょうか。
今日、試せるところまで小さくしてみる
ずっと準備を続けていることがあるなら、一度、こんなふうに考えてみてください。
「今の自分でも、試せることは何だろう?」
会ってみたい人に、話を聞けないか連絡してみる。
気になっている講座を、一度体験してみる。
発信したかったテーマで、短い文章を一本書いてみる。
その経験をもとに、次に必要な準備を考えればいいのです。
やってみた結果、「思っていたのと違った」と感じることもあるでしょう。それも、試したからこそ得られた大切な判断材料です。
「準備ができたら」と考えている、あなたのやりたいこと。
今日、その中のどこまでなら試せそうでしょうか。
まずは一つ、実際にやってみる。次に何をすればいいかは、そこから見えてくるはずです。
本記事は、拙著『読むだけで人生が変わる「すぐやる」思考術』第6章「準備は永遠に万端にならない」をもとに、note掲載記事を仕事・人材育成の視点から再構成しました。
自分や職場の「次の一歩」を考えたい方へ
株式会社キャリアクリエイティブでは、企業向けキャリア研修やキャリアコンサルティングを通じて、一人ひとりが自分の経験や価値観を整理し、これからの行動を考える機会づくりに取り組んでいます。
社員の主体性やキャリア形成、人材育成についてお考えの方は、お気軽にご相談ください。
考え方をさらに深めたい方には、書籍でもご紹介しています。
株式会社キャリアクリエイティブ代表取締役/国家資格キャリアコンサルタント。 愛知県岡崎市出身。法政大学卒業後、株式会社デンソーに13年間勤務。外資系自動車部品メーカーやドイツでの海外勤務など、多様な環境でキャリアを重ねる。 2017年に株式会社キャリアクリエイティブを設立。「人はいつからでも変われる」を信念に、企業の人材育成・組織改革支援、キャリア研修、採用支援、教育機関でのキャリア教育などを展開。 9回の転職と3度の起業を経験。著書『読むだけで人生が変わる「すぐやる」思考術』(白夜書房)は紀伊國屋書店週間ランキング2週連続2位を獲得。 現在は、企業研修や「河原塾」を通じて、自立型人材の育成を支援している。



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